2010年8月号 灯籠流し

2010.08
 ネアンデルタール人には、死者を埋葬し花を供えるなどの宗教行為を思わせる遺跡が幾つか知られており、クロマニヨン人の段階になると、墓の上に大石を置いたり死体の手足を縛って埋葬するといった風習も見られる。また、現在の地球上の宗教の考え方においても、人は肉体と霊魂によって成立しており、そんな霊魂への慕情や畏れの観念は人類の根本的な発想だと言えるのかもしれない。
 日本の盆の概念は日本全国に浸透しており、その行事の内容や風習は地方でさまざまな様式がある。我が甲府では8月13日が「盆の入り」で祖先の霊魂が帰ってくる日。迎え火を焚く。16日は「盆明け」で霊魂があの世へ戻っていく日。送り火を焚いたり、灯籠流しが行われる。盆の行事は日本人の「魂」や「心」の存在に対して抱いている畏敬の念の表現手段なのであろう。そんなお盆は、日本の祝祭日ではないが、誰もが国民的な休暇である事を認識しており、その休暇は故郷へ帰るための休暇であるという概念もある。人は愛する人との「死」という絶対的な別れに対して、「心」や「霊魂」という存在で繋がりを持続する。その行為はあくまでも美しく、健気で、尊いことだと思う。
 8月16日。甲府の荒川や河口湖などでも「灯籠流し」が行われる。8月15日は日本の終戦記念日である。この時期、命についてもう一度考えてみることは必要だ。




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