こればんべえ (東)
「こればっちい?」
『(給料が)これっぽっち?』
「ほうよ」
『そうだよ』
「こればんべえかえ?」
『これだけだけなのか?』
「ほうさよう」
『当然だろう』
「ひとよっか いのいてんに?」
『他人よりも、働いているのに?』
「んっなことぅ、ゆうか?」
『そんなことが言えるのか?』
「…。」
『…。』
「ほれみろ、覚ぇがあるべえ?」
『そらみたことか、自覚があるだろうに?』
「…。だけんど、いまひこうし、色ぅつけてけえろよ…。」
『…。そうだとしても、もう少し、上乗せしてくれよ…。』
「おめえが、ぽかしねえで、仕事に、来りゃあな。」
『お前が、ドタキャンせずに、出勤すればね』
「専務よう、おりゃあ、おめえのおやじぃと、おなっとしだあぞ」
『専務さぁん、俺はねぇ、社長のあんたの父親と同い年なんだよ』
「じきにゃあ、そりょういいやがって」
『すぐに、何かに付けてそのことを言い出して』
「おれの、にょうぼこが、うっちんだあら、うらむぞ」
『俺の女房子供が餓死したら、恨むぞ』
「にょうぼこが かえぇしかったら、ひこしゃあ、まともんなれ!」
『女房子供が大事に可愛らしく思うなら、少しは真面目になりなさい!』
「へえ、石和にゃ行かねえから、たのんます。ぜし、この通り」
『もう、場外馬券売り場には行かないので、お願いです。是非、この通り』
「いっぺん、おめえが うっちげ」
『一度、お前が死んでしまえ』
(東部)