旧町名を復活させたい 〜中道往還 中編〜



 暑い日が続いておりますが、熱中症対策は万全でしょうか?年々病院へ運ばれる方が増えていると聞きます。交通事故と一緒で、ついつい私は大丈夫と思いがちですが、ぜひ気を付けていただければと思います。めまいや頭痛、吐き気を感じたら危険信号です。そうなる前に体を冷やしたり、水分を補給するようにしてくださいね。


 さて、今月も引き続き、中道往還について掘り下げていきたいと思います。
中道往還とは、甲斐の国と駿河の国を結ぶ街道のひとつで、河内路と若彦路の中間に位置することから「中道」と呼ばれるようになりました。他の2経路の真ん中を突っ切る形でつくられたルートということで、駿河までは最短距離の20里(約78km)ほどだったそうです。その道のりを、当時の人たちはどのような思いで、どんな風景を見ながら行き来していたのでしょうか?


 上の写真は先月号でご紹介した、旧住吉通りで、右手には甲府市救急医療センターが見えます。南へと進んでいくと左手に山梨交通自動車学校があり、交差点の先には甲府市立南中学校が見えてきます。この交差点の辺りは、旧南大路となります。南大路は昭和4〜41年にかけての町名で、市の南部に位置して水田地帯の低湿地でしたが、大正末期から着手された耕地整理と道路網計画により建設されました。東側は昭和3年に開設された富士身延鉄道甲府南口停車場から、西は住吉通りに至る東西の通りで、新しくつくられた南北の街路に対して命名されたそうです。

住吉通りを更に南下していくと、県道113号線へとぶつかります。


道順としては左折をするのが正しいのですが、右折して右手にある住吉神社へ寄り道します。


 住吉神社は、武田氏の初代当主である武田信義により、高畑村(高畠村)から稲積荘一条郷へと移し、武田家代々の軍陣守護の神となります。その後、甲府城築城に伴い、文禄年間に現在地へと移されます。
 この辺りは室町時代の頃から畔村(あぜむら)という名称でしたが、明治8年に下小河原、中小河原、上、増坪の5ヶ村が合併し、住吉村となりました。由来はもちろん、住吉神社の名をとったとのこと。
 その後、明治後期から畔、下小河原、中小河原、上、増坪の5大字を編成し、昭和24年に大字畔が甲府市へと編入。住吉本町へと改称します。現在の住吉は昭和41年からの町名で、住吉本町、伊勢町、中小河原町、上町、下小河原町の各一部から成立しました。現在の中小河原、下小河原、上町の位置関係を考えると、合併して成立した旧住吉村は相当大きな村だったのでしょうね。

 さて、話を中道往還へと戻し、県道113号線を南下します。住吉踏切を渡り、更に進んでいくと、国道20号線へとぶつかります。


 陸橋を潜り、下小河原町へと入った辺りに、以前は一里塚があったようですが、現在はどこにも確認できません。


 一里塚とは街道で一里ごとに道の両側に土を盛り、エノキなどを植えて距離を示す目印とした塚で、江戸幕府により全国に設置されました。一里は約3.92kmですから、旧甲州街道との交差点からここまで、4kmほど進んできたということでしょうか?

 下小河原町は、もともと上小河原、中小河原と合わせて小河原として一村をなしていましたが、荒川の水害によって二分され、一部は荒川西岸に沿って上小河原村をつくり、残された幹部は小河原村と称しましたが、慶長年間の頃(1596年から1615年まで)に中小河原と下小河原の2つに分村しました。名称の由来は地形の特徴によるとのこと。

 更に南下していくと道祖神を発見。


 道祖神は集落の境や村の中心、村内と村外の境界などに主に石碑や石像の形態で祀られる神で、村の守り神、子孫繁栄、近世では旅や交通安全の神として信仰されているものです。我々にとって馴染み深い道祖神。日本全国に存在はするものの、ここまで全県的に広がっているのは山梨県と長野県ぐらいだということです。
 しかも、写真のような丸石の道祖神は県内では主流となりますが、他県では珍しいとのこと。専門家によっては、道祖神の起源は縄文時代まで遡ると仰っている方もいます。

 下小河原町を過ぎ、小瀬町へと入ります。小瀬の由来は諸説があり、武内宿禰(日本書紀や古事記に伝わる古代日本の人物)の子孫である巨勢氏が居住したためとも言われてますが、荒川と笛吹川の合流点に近いことから、小さな川瀬という地形から付けられたという説が有力のようです。
 小瀬村という名は鎌倉時代から見られ、明治後期に山城村へと編入し、大字名となるものの、昭和29年には小瀬町として復活します。


 上の写真は小瀬スポーツ公園西交差点で、右手に見えるのは山城小学校のグランドです。この辺りから、旧中道往還を境に東側は小瀬町、西側は上今井町となります。
(次号へ続く)

文:川上明彦

参考資料:甲府市統計書、角川日本地名大辞典、Wikipedia、住吉神社HP

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