北杜市役所 浅川裕介さん

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最近は暑い日が続いていますね。
この季節になると、彩りが美しい野菜を食べたくなるのは、私だけでしょうか?
5月号に掲載した、甲府市地方卸売市場にある山梨中央青果株式会社の遠藤さんのお話しの中で、県内産の野菜は北杜市が生産量No.1だと聞きました。
今回のMattoCileciは、その北杜市の市役所で、「食と農の杜づくり課」を立ち上げたメンバーである、浅川さんにお話しを伺いました。
食と農の杜づくり課は、「次世代を担うこどもたちのために」をコンセプトとし、その土地からとれたものを食べることがもっとも体に良いとされている「身土不二」を重んじ、活動している部署になります。

食と農の尊さを
未来を担う子ども達に伝えていきたい(浅川)

「地元の野菜は美味しいんです」
皆さんは野菜を購入する際に、生産地を確認するでしょうか?私は一人暮らしで自炊をしていた頃は、値段を見て、その中で見た目が良い物を選び、カゴに入れていました。ということは、野菜を選ぶ基準が「金額」だったということになります。しかし、誰もが「美味しいものを食べたい」と思うのは、当たり前でしょう。美味しいものを食べたいのであれば、この基準で野菜を選ぶのは間違っていると言えます。野菜の美味しさで一番重要なのは「鮮度」ですから、採れた時から手元に届く時間が一番短い、県内産の野菜が美味しいのは当たり前ですよね。

「消費者ニーズが変われば、野菜が流通する仕組みも変わるでしょう」
では、県産の野菜は、どのスーパーにも置いてあるのでしょうか?今まであまり意識をしたことが無かったのですが、あらゆる野菜が県内産で揃えられるのでしょうか?
浅川さんが仰るには、県内産で全て揃えるのは難しいかもしれないが、現在は県内産の野菜に対する意識は低く、少し高いこともあり、売れづらいことから、スーパーなどに並ぶのは限られた種類と量になっているようです。
結局は、県内産の野菜は他県へと流れ、県内の食料自給率を下げている訳ですね。なんだかとても、もったいない気がします。
もし、私たちが週に1~2回でも県内産の野菜を購入するようになれば、スーパーなども種類や量を増やしてくるでしょう。陳列される商品は、消費者のニーズによって変わっていく訳ですから当然ですよね。

「未来を担う小ども達に託したい」
しかし、県内産の野菜に対する意識を今すぐ高めることは、なかなか難しいことです。経済状況もありますし、安い方が「得」という価値観も、簡単には壊せません。
しかし、これから未来を担う子ども達に、農業の尊さや県内産の野菜の美味しさを知って貰えれば、20年後の価値観は変わるかもしれません。
食と農の杜づくり課はそんな思いから、学校給食の地産地消化や、素足で土に触れるような、五感をフルに使う体験事業、おやこ食育教室などを積極的に行っています。それが、山岳景観日本一、オオムラサキ生息日本一、ミネラルウォーター生産量日本一、日照時間日本一という北杜市の地域資源を、後世につなげていくことだと信じているからです。

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「いただきますとごちそうさま」
浅川さんの話を伺う中でとても印象的だったのが、「いただきますは、『あなたの命をいただきます』で、ごちそうさまは、必死になって食材を集めてくれたり、食べるまでに汗を流してくださった方々への感謝を込めた『ごちそうさま』という意味で、これを子ども達に伝えていくことが、とても重要なんです」ということでした。1日に3回、1年で1095回、一生に約9万回口にするこの言葉の本当の意味が、子ども達に伝えられているでしょうか?
私は自分の娘達に、「話をした」ことはありますが、「伝え」られているかは自信がありません。今年の夏は、子ども達が土に触れる機会を設け、「お百姓さん」と「農業」の素晴らしさ、そして「命の尊さ」を伝えていきたいと思います。

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食と農の杜づくり課のさまざまな取り組みは、
モグログ(http://ameblo.jp/syoku-no-genten/)の中で紹介されています。


1307a■浅川 裕介 / 北杜市役所
北杜市役所『食と農の杜づくり課』を立ち上げ「みつめよう!食の原点」という合言葉で「次世代を担う子どもたちのために豊かな自然資源を核として、元気なふるさとを築き、育てるあげること」を通じて一流の田舎まちを目指した取り組みを行なっている。現在は、観光商工課観光企画担当として八ヶ岳南麓の観光振興に貢献するさまざまな事業にも携わる。


北杜市が取り組むふたつの『ごひいき』エコひいき地産地消協力店とは?

mark地元の素材でみなさまをもてなし、もっと北杜市ファンになっていただきたい。そして北杜市をもっと「ごひいき」にしていただきたいという思いと、昔のよう に、地域が地域を「ごひいき」にしていた地域内循環型経済を再生することで、みんなが笑顔になる「一流の田舎まち」づくりの実現を目指したいという思いが 込められている活動で、生産者、販売者、飲食店をつなぎ、地域内6次産業化を目指しています。
甲府市も県外資本の飲食店やショップが増えてきていますが、この北杜市の取り組みは、甲府市中心街活性化の大きなヒントになる気もします。