甲府のれん百年
7月号

信玄公から贈られた「吉」の字
吉字屋本店

 「やぁ、お待たせして」と言いながらソファに腰をおろした(株)吉字屋本店高野総一社長(47才・吉字屋18代目)は、約一時間吉字屋について話してくれた。
 永禄11年(1568年)相模の国北条氏から塩どめを受けた武田信玄に宿敵越後の上杉謙信は塩を送った。有名な「敵に塩を送る」話だ。このとき、塩の引取りに功績のあった甲府の商人塩屋孫左エ門(初代)は、信玄公より甲斐国の通貨甲州金の裏刻印である「吉」の字を屋号として贈られ「吉字屋」が誕生した。甲州金は、現在日本銀行と山梨中央銀行資料館に保管されている。
 以来435年、吉字屋は、塩、灯油、石油・ガソリン、LPGなど一貫して人々の生活必需品の供給を業としてきた。そして、「最古にして最新たれ」の教えに則り、古いだけではなく新しい時代のニーズにも目を向ける。全国にさきがけて太陽光発電で動かすガソリンスタンドの建設や「トータルカーライフビジネス」を目指した経営戦略の展開を積極的におこなっている。現在、SHELLガソリンスタンド直営店11、販売店32、LPGの販売、塩の製造販売など事業内容は手広い。
 吉字屋の家訓の中の「生活必需品を扱え」、「儲けるな」、「大きくなるな」といった精神が代々会社のポリシーとして受け継がれているからこそ、企業の寿命30年といわれる経済社会で435年も吉字屋は続いているのである。

吉字屋本店
昭和初期の本店

吉字屋本店
ASK甲府南SS

〒400-0032
甲府市中央4-5-29
電話・055-232-3111

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