第8回お題:「裁判員制度」

 「私の視点、私の感覚、私の言葉で参加します。」平成21年5月までに始まる「裁判員制度」のキャッチコピーである。

 今回の座談会は
出張座談会その2。甲府地方検察庁において、何かと話題になっているが、なかなか本筋が分からない裁判員制度について、甲府地方検察庁の企画担当の方を交
えて行われました。


zadankai2-1.jpg

座長・・「みなさんこんにちは。今日は前回同様出張座談会と称し、甲府地方検察庁に来ました。受付の方や企画担当の方の笑顔に迎えられ、悪い事をし
てもいないのになぜか緊張しながら建物内に入った私ですが、皆さんはどうでしたか?」
Hさん・・「エレベーター内に花が飾ってあるなど、ここに勤
務している職員の皆さんの人としての心遣いを感じますよね。」
座長・・「そうですね。司法に携る立場の方が、人と人との関係を大切にしている気が
します。さて、早速ですが、皆さん裁判員制度が始まる事を何となく耳にした事があるかと思いますが、具体的にどんな事が始まるのか理解していますか?」
S
さん・・「聞いた事はありますが良く分かりません。」
Mさん・・「私はNHKの番組で放映された裁判員制度についての特集番組を見ました。なんと
なくそれで理解しましたが・・」
座長・・「そうですか。実は今日も法務省で広報用ビデオとして制作された『裁判員制度−もしもあなたが選ばれたら
−』をご覧頂き、同席して頂く甲府
地方検察庁企画担当の方と質疑応答しながら、この制度について理解を深めていきたいと思います。それではお願
いします。」

ビデオ鑑賞タイム・・【ビデオの概要】
平凡なサラリーマン小林のもとに1通の手紙が届いた事から物語がスタートする。手紙の内容は裁判員候
補者に選ばれた通知である。
 候補者は十数名。その中から6名の裁判員が選ばれ小林もその1人に選ばれた。自分の発言で被告人に逆恨みされる恐怖
や、素人考えで他人の一生を左右する事に選ばれた6名が葛藤する中、様々な人間模様を通して、同じ社会に生きる人間として、問
題を共有して考える
事の意義を感じ始めるようになる。

zadankai2-2.jpgビデオ鑑賞後・・・
座長・・「みなさんビデオを鑑賞し、裁判員制度についてどんな事を感じましたか?分からない事があったら、企画担当の方
に質問しても大丈夫ですよ。」
Kさん・・「私の子供は高校生ですが、平成21年からこの制度がスタートすると、まさに我が子も裁判員の候補者にな
る訳ですが、この制度の理解を深めるため、学校等での取り組みは何かありますか?」
企画担当者・・「甲府地方検察庁として各学校に夏休みを利用し
て、裁判員制度の理解を深めるためのプログラムをご案内しています。実際の裁判を1日かけて見てもらい、DVDを鑑賞し、検事・裁判官・弁護士を交えディ
スカッションをする予定でいます。」
Tさん・・「私はこのビデオを鑑賞し裁判員制度について誰もが抱える不安がストーリーの中に描かれていた事で
理解を深める事ができました。でも同時に 責任の重さも感じています。」
Oさん・・「私は正直この制度の事を詳しく知りませんでした。裁判員に選
ばれ裁判に参加し自分の言葉で意見を出す事は初めての経験になるわけで、大丈夫かな〜と思います。」
企画担当者・・「みなさんも初めてですが、裁
判官も初めての試みなので大丈夫ですよ。」
Wさん・・「私達主婦は比較的裁判員になったとしても時間を作る事が安易かもしれませんが、主人などは
勤めをしていると難しいような気がするのですが・・。裁判員を断る理由も限られているので大変だと感じています。」
Bさん・・「ビデオを見ると封
書が届き裁判員になるための面接があってから、あれよあれよと言う間にいろいろ始まり心構えができるのかな〜って思います。また裁判員が関わる裁判は何日
位かかりますか?」
企画担当者・・「裁判員が関わる裁判は、地方裁判所で行われる第一審の刑事裁判のうち、国民の関心が高い重大な罪の裁判です。
3日〜5日を予定しています。」
Dさん・・「速やかな裁判を進めるためには、素人が参加する事で逆に足手まといになるような気がしますが。」

画担当者・・「私達の住んでいる地域の犯罪の裁判を個々の視点・感覚・言葉で解決して行こう!と言うのがこの制度の趣旨なので、積極的に参加して欲しいと
思います。」
Iさん・・「裁判員候補者はどのように決められるのですか?」
企画担当者・・「市町村の選挙人名簿から抽選で裁判員名簿の候
補者を選びます。」
Fさん・・「裁判員制度について新聞の記事を読んだのですが、評議をする際の資料の文字に専門用語が多く、意味が分からないと
の指摘が書かれていたのですが、私達主婦にも理解できるのでしょうか?」
企画担当者・・「その件については裁判に携る我々も、一生懸命勉強してい
ます。NHKのアナウンサーを講師に招き、わかり易い言葉でわかり易い裁判を目指し勉強しています。専門用語など分からない事は評議の席上でも納得するま
で教えてもらえます。」
Nさん・・「ビデオの中で裁判員になった場合守秘義務があると言っていましたが・・。例えば評議会で話し議論した事を家族
に話してもいいのですか?」
企画担当者・・「評議の中で出た内容、また、裁判員の仕事をする上で知った個人のプライバシーなども守秘義務がありま
す。罰則も、もうけられています。」
主婦全員・・「ぽろっと家族に言ってしまいそうだよね。(笑)」
座長・・「みなさん座談会終了の時間
になってしまいました。今日は裁判員制度についてDVDを鑑賞しながら理解を深めていきましたが、裁判を身近に感じる事ができたように思います。今日はあ
りがとうございました。」

 

 旧約聖書の創世紀によると、神はアダムとイブを創った。その子孫が増えるにつれ、大地では悪が氾濫していった。神はノアに難を逃れるための「箱
船」を造らせ、悪人は全て消し去ろうと大洪水を起こした。ノアと妻子はこの箱船に乗り、逃れたので人類は滅びなかったという。
 私達は神でなく何
の力もないが、この裁判員制度に積極的に参加することで、社会が少しでも良くなるように願う事ができる。現代版「ノアの箱舟」の舵取りは国民一人一人心に
オールを渡されたのだと思う。 「私の視点、私の感覚、私の言葉で参加します。」平成21年5月までに始まる「裁判員制度」のキャッチコピーである。